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D進前の研究インターン@Disney Research


研究留学 Advent Calendar 2017 10日目の記事です。


東京大学の川原研究室で修士2年をやっています、笹谷拓也(@takuyasasatani)です。

今年の1月から7月までの間、Disney Researchで研究インターンをしていて思ったことなどを書こうと思います。(研究所のシステムとかに関しては、NDA的に怪しいので触れません。)非常に良い時期に充実した研究インターンができたと思っているので、良い話が中心になると思います。


「まだ業績も大してない、D進前の時期から有名研究所のインターンに応募するなんて畏れ多い…」などと考えている、学部・修士学生(まさに去年の僕ですね)の後押しになれば嬉しいです。






概要(研究留学Advent Calendarのテンプレート?)


大学での研究:無線電力伝送技術を中心に、電磁気・回路・センサ周りを色々

いつ行ったか:修士1年の冬から2年の夏にかけての6カ月間
どこに行ったか:Disney Research Pittsburgh(以下DRP)
何をやったか:部屋スケールのユビキタス無線電力伝送の研究など色々
どうやって行ったか:Disney Research Internship Program + 指導教官(@mahimahi先生)の紹介


研究インターンに応募するまで

 前から留学や海外で働くことに興味があり、いろいろと調べていました。その中で、多くの海外研究所には大学院生をインターン(研究員)として雇う制度があると知り、D進するならやってみたいなあと漠然と思っていました。そして修士1年の夏にその旨を指導教官(@mahimahi先生)に伝えてみたところ、行きたいのならすぐ行けば良いのでは?ということと、僕と専門が近いDRPの知り合いがいることを教えていただき、紹介していただきました。(ここは本当に指導教官氏と運に感謝しかないです…)

 業績がまだ少ない時期に研究インターンをしたい場合には、推薦が大事になると思います。行きたい研究機関があったら指導教官に限らず、推薦してくれそうな人を探して相談するべきだと思います。


応募時の僕のスペック・面接など

 応募したのは修士1年の夏でしたが、当時の僕の業績・スキルは以下のような感じでした。
    • 国際会議の筆頭一本、セカンド一本(+日本語の会議論文いくつか)
    • 無線電力伝送のデモの作成経験
    • 高周波測定・電気回路・プログラミングが多少
面接はSkypeで行いましたが、内容としては、「今までの研究・スキル・研究の興味についての雑談」、みたいな感じでした。スキルについて細かく聞かれたことが印象に残っています。(「こういうのは作ったことある?作れる?」みたいな感じで。)面接ではわからないこともだいぶ聞かれ、実績も修士学生として飛びぬけているわけではないので、断られるかな?と思っていました。しかし、専門や研究の興味が合致していたことが効いたのか、応募先の研究室の何名かと面接した後にオファーをいただけることになりました。

受け入れが決まって以降は、「今のスキル・実績ままDRPに行ったらヤバい!!!」という気持ちが芽生えて、ひたすら研究・実装・勉強をしていました。かなり気が小さい人の発想という感じですが、出来ることは増えましたし研究インターンの副次的な効用という感じですかね…笑


インターンまでのスケジュール

 参考までにざっくり書きます。
2016年 7月頃:指導教官に海外インターンについて相談
2016年 9月~10月頃:応募先研究室の研究者何人かとSkype面談
2016年 10月:インターンのオファーをいただく(この時期以降はいつでも渡米OKみたいな感じに)
2016年 11月~12月:ビザ取得・事務手続き色々(僕の場合、ほとんど先方がやってくれました)
2017年 1月:家探し・インターン開始


インターン中の生活

基本的には研究漬けでしたが、研究所の人同士かなり仲が良く、休日などは他のインターンやポスドクの方と遊ぶことも多かったです。遊びの内容は、飲み会・スポーツ(サッカー、ボルダリング、バスケ、ボーリング、卓球、スノボなど)・映画・ゲームと多岐にわたっていて、良い息抜きになっていました。特にサッカーに関してはPittsburghのTech企業(Google, Uber, Oculus, Apple等色々)対抗のリーグがあり、ほぼ毎週やっていました。(こう見ると意外と遊んでますね笑)

 メインの研究に関しては、以下のような感じでした。

1月~4月中旬:研究テーマ探し・予備実験・機材等に慣れることを兼ねたデモ作りなど
4月下旬:思いついたアイデアの中から面白い順にひたすら論文にしていこう!という感じに

5月~6月:ひたすら実装・解析(+展示会用デモ作り)
6月中旬:一本目の論文をIEEE AWPL(アンテナ・伝搬系のトップジャーナル)に投稿
6月中旬~7月中旬:二本目の論文投稿に向けてひたすら実装(原稿は帰国後に書くことに)
7月下旬:引き継ぎ・帰国
8月下旬:一本目の論文がPublishされる(DRPIEEE Xplore
8月~10月下旬:二本目の論文を執筆・投稿(Under Reviewなので詳細は割愛)

最初から、出来そうなことを見つけてとりあえず手を動かすのではなく、まとまった時間を使ってテーマ探しに向き合えたのは本当に良かったと思います。また、僕の場合は期間が6ヶ月とそこそこ長かったためテーマ探しから自由にやらせていただけましたが、期間が3ヶ月などの短めの人は既にあるテーマの手伝いや、事前に考えてきたテーマを持ち込む形が多かったと思います。(ここらへんの方針は受け入れ先との相談次第だと思います。)


行く前・行った後の海外研究インターンのイメージ

 学部・修士課程での周りの雰囲気やWeb上の体験記から、僕の中での有名研究所でのインターンのイメージは、「すでに大量の業績がある超人博士学生だけのもの」という感じでした。もしかしたら僕だけかもしれませんが、長期の有給インターンが一般的でない日本にいると似たイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

 しかし実際にDRPに行ってみると、研究インターンは博士学生が中心であったものの、修士課程の学生も多少はいました。また、超人というよりは普通に優秀な院生(伝わりますかね…)が多かった気がします。もちろんそれぞれスキルや発想力など、光るものはある印象でしたが、必ずしも何本もの発表論文を持っているわけではなかったです。

 本題から少しずれますが、研究以外の業務に携わる長期インターン(大きいプロジェクトを手伝うエンジニア・システム管理者・アーティストなど)も結構いたのが印象的でした。こちらに関しては博士学生よりも修士・学部生の人が多く、研究者に限らず長期のインターンが文化として根付いていると感じました。


海外研究インターンをして良かったと思うこと

 思いつくことを箇条書きします(時期が関係ないものも混じっています)
  • 専門分野についての理解が深まる
    • 専門が近いけれどもバックグラウンドが異なる人とたくさん議論できたのは本当に貴重な経験でした。
    • 僕の場合、東大での研究室が情報・ネットワーク系なのですが、DRPで所属した研究室は「電磁気・応用物理系」「アンテナ・高周波回路系」「信号処理・組み込み・通信系」それぞれのResearcher 3人+個性豊かなインターンで構成されており、非常に刺激的でした。(研究室のボスも「自分が知らない分野の研究者を雇うようにしている」と言っていたので、狙っているんだと思います。)
  • 同世代、若手研究者の友達がたくさん出来る
  • 進路について考える良い機会
    • 特に海外のPh. D学生のレベル感や、アメリカの職業観をなんとなく感じることが出来たのは良かったです。
    • 結局日本でD進することにしましたが、海外D進についてきちんと悩めたのは良かったです。
  • 次の研究留学、共同研究などに向けたコネクションが作れる
    • また研究留学することを考えている、と言ってみたら様々な強い研究者を紹介していただき、帰国の際にUWの研究室を訪問させていただきました。
    • ある程度実力が認められたら、もう一回来れば?とか言ってもらえたりします。
  • 貯金が出来る


海外研究インターンで気を付けた方が良いと思うこと

 こっちも思いつくことを箇条書きしてみます

  • 論文発表日とNDA(おそらく研究機関次第?)
    • 企業研究所の場合、発表済みの仕事しか口外出来ない場合が多いと思います。学位論文も例外ではないので、「学位論文がインターンでの研究内容 → 採録・発表が学位審査までに間に合わない」といった場合は大変です。また、強い研究所だと中途半端な仕事を発表出来る空気ではないことが多いと思います。卒論・修論審査までにその内容の外部発表が済んでいる人はそう多くない印象ですし、採録は運に左右されるので、気を付けた方が良いと思います。
    • 僕の場合は、インターン中の仕事で一番自信があるものについては採録が間に合いましたが、他の仕事に関しては間に合わないので修士論文には書けない感じです。
  • 生存者バイアス
    • Web上では成功体験を多く見ますが、実際には論文を書けずに帰国する人も多かったです。
    • 僕は結果的に2本の筆頭著者論文を発表できそうですが、アイデアが思いつかないときや、回路が動かないときなどは結構悩みました。(ダメ元みたいな気持ちもあったし、色々試すのは楽しかったのでそんなに深刻ではなかったですが。)
    • しかし、ある程度長期のインターンで、上司とガンガン議論しつつ、真面目に作業している人は大体上手くいっている感じでした。
  • 期間が短いと大変
    • 特にハードウェア・物理系に言えることだと思うのですが、期間が短いと結果を出すのは大変です。僕にとって6ヶ月は最低ラインで、もっと長くても良かったなと思います。
    • 僕だけかもしれませんが、強い研究者達に議論を吹っかけられるようになるまでには、結構時間がかかりました。上司にも「最初の方は大人しかったけれども、最後の方はきちんと主張してきて面白かったし成長したと感じた」などと言われたので、アメリカ行く人は激しめに主張していくようにしましょう。

おわりに

 まとまりのない長文でしたが、読んでいただきありがとうございました。色々と書きましたが、結論として、早い時期に海外の研究所にインターンに行くことはかなりおススメです。(なんか月並みですね…)最後に、研究インターンに推薦していただいた@mahimahi先生、DRPの方々(まさか読むことはないと思いますが笑)、今回のAdvent Calendarを企画して下さった@keihiguさんへの感謝で本記事を締めくくりたいと思います。